地域を支えるヒーローたち vol.10

第三十七回 ~番外編~
地域を支えるヒーローたち vol.10

地元観光で出会った魅力的な人たちをご紹介する「まんなか。番外編」。
今回のヒーローは、故郷の味をこよなく愛し、讃岐の魅力を県内外に伝えている方々。
世代も業種も違うけれど、“心のまんなか”にある思いは同じなのかもしれません。


亀山昌徳さん・厚子さん夫妻

夫婦二人三脚で故郷の味を守り続ける
下吉田ぜいたく堂本舗 亀山昌徳さん・厚子さん

 創業100余年、老舗菓子店「下吉田ぜいたく堂本舗」を切り盛りする亀山昌徳さんと厚子さんご夫妻。厚子さんが嫁いだのは昌徳さんが先代から跡を継ぐ少し前ということなので、もう60年も一緒にいらっしゃいます。
 「嫁に来てからこの人より早く起きたことがない」という厚子さん。いやいや、決して奥様が尻に敷いているわけではありません。こちらの名物で1日限定12本のジャンボカステラを焼くために、昌徳さんは毎朝4時に起床しているんです。「朝はきっちり起きるんですよ。仕事も食事も寝る時間も、毎日きちっと決まってるんです」と、60年続く夫の規則正しい生活ぶりを教えてくれました。もしかしてご主人はA型?なんて何気なく聞いてみると、昌徳さんがB型で厚子さんがA型だと意外な答え。AとBは合わないってよく耳にするけれど、「ケンカばっかりよ~」と笑う厚子さんの柔らかな表情を見ると、とっても幸せそうです。
 ここで王道の質問、夫婦円満の秘訣!定休日にはそれぞれが好きな時間を過ごすこと。でも昔はよく一緒に旅行されたそうで、北海道から沖縄まで、ツアーなどを利用してさまざまな観光地を訪れたと言います。
 昨年、8人目のひ孫が生まれたのだと嬉しそうに話してくれたお二人。「(この仕事を)つらいと思ったことは一度もない。お客さんもそうやし、孫やひ孫もカステラを喜んで食べてくれる。それが一番嬉しい」。そう言って目を細める昌徳さんに、笑顔でうなずく厚子さん。お二人の仲の良さに、こちらもほんわかした気持ちになりました。
 ご夫婦で支え合いながら故郷の味を守り続けている同店。現在は後継者となる息子さんが修行中なので、このカステラの味はずっと受け継がれていきます。

亀山昌徳さん・厚子さんの記事はこちら!
第三十四回「元気がもらえるメガ級カステラ」



讃岐のまんなかで日本一を目指す男
純手打うどん よしや 山下義高さん

 「いらっしゃいませー!」頭にタオルを巻き、リズミカルに麺を伸ばしながら朝一番のお客様を元気よくお迎え。「純手打うどん よしや」の若き大将、山下義高さんです。老舗が集まる本場・讃岐で、オープン9年目にして人気上位に君臨する同店。なのですが…「うどん屋をするつもりはなかった」と、大将衝撃の告白!
こんぴらさんのお膝元で旅館を営む両親の元に生まれ育ち、学生時代は東京で税理士の専門学校へ。卒業後は大好きな音楽関係の仕事に就き、地元に帰ってきたのは2000年ごろ。色々と好条件が重なったのもありますが、これまで全く縁のなかったうどんの世界を覗いてみよう!という気持ちになったそうです。
 「感覚で決めたんですよ〜」と笑う山下さんですが、その根底にあるのは子どもの頃から慣れ親しんだ故郷の味。全国に誇れるその味を、地元を離れていたからこそ実感されていたのだと思います。
どうせやるなら目指せ日本一!と、昔ながらの手作業にこだわりセルフスタイルの流れに沿うメニュー作りを。お客さんに楽しんでもらうため、他店と協力してスタンプラリーをしたり東京のカフェとコラボイベントを開いたりと、さまざまなイベントも企画されています。「地域の人たちに親しんでもらいながら、誰かの中で日本一だと思ってもらえる店にしたい」。
酒もタバコもギャンブルもしない、休日は2人の娘さんと過ごすのが何より幸せという良き夫で良きパパ。子どもたちは、そんなパパの作るうどんを美味しいと言って食べてくれるのだと嬉しそうに話す山下さん。“誰かの中の日本一”、きっとすでになってますよね。

山下義高さんの記事はこちら!
第三十五回「若き大将が打つパワフルうどん」