地域を支えるヒーローたち vol.9

第三十三回 ~番外編~
地域を支えるヒーローたち vol.9

地元観光で出会った魅力的な人たちをご紹介する「まんなか。番外編」。
今回ご紹介する地域の“ヒーロー”は、空海の故郷・善通寺市で五岳山縦走を立ち上げた男性と、鉄道の町・多度津町の資料館で館長を務める女性。地域が歩んできた歴史を大切にし、またその魅力を後世に伝えるべく奮闘されているお二人です。


石井秀文さん

五岳山縦走の途中、我拝師山から筆の山&備讃瀬戸を望む!


アツい魂と優しいハートを併せ持つ人
NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事 石井秀文さん

 昨年12月、善通寺市にある五岳山で第11回目となる縦走・空海ウォークが開催されました。参加者の皆さんは半数以上がリピーターの人たち。香川県内に留まらず、中には海を越えて岡山県から参加する人もいます。
 仕掛け人である石井秀文さんは元善通寺市職員で、現役時代には四国88ヶ所1400kmのサイクリング遍路を実現するなど、地域の持つ魅力に拘った活性化事業に取り組まれてきた方。独自のアイデアと行動力で、五岳山の歴史と魅力を地域の人たちに伝えています。
 お会いした時に感じたのは、なんてエネルギーに満ちたアツい人なんだろう、と。がっしり系の見た目とハキハキした声、聞けば学生時代はバリバリの体育会系だったとか。60歳を越える今でも、趣味は登山やサイクリングなどアウトドア中心だそうです。
 一方で、野山を駆け回った子ども時代の思い出を今も大切にする故郷愛にあふれた一面も。「子供たちが成長して都会に出たとき、語るべき思い出の中に“ふるさとの野山がない”なんてあまりにも悲し過ぎる。もっともっと、自分の生まれ育った地域の歴史や自然を体の中に刻み込んで欲しい!」と熱く語ります。
 現在は、居住地である三豊市の保護司もされている石井さん。保護司とは保護観察を通して更生をサポートし、犯罪予防活動に従事する人のことです。五岳山縦走はもちろん、石井さんの情熱的なハートは地域を越えて輝いています。

石井秀文さんの記事はこちら!
第三十二回「お山のこれから。~五岳山を歩こう~」



地域のつながり、人との縁の大切さを知っている人
多度津町立資料館館長 川元紀惠さん

 生まれも育ちも多度津っ子。嫁ぎ先は県外でしたが、再び子ども時代を過ごした鉄道の町へと帰ってきた川元さん。現在、地元資料館の女性館長として貴重な史料を守り、さまざまな活動を通して町の歴史を伝えていらっしゃいます。
 帰郷当時は地元の歴史なんて全く知らなかったと話す彼女、むしろ歴史は大嫌いなタイプだったそうで(笑)臨時職員の募集で当初は事務員として働き始めたのに、いつのまにやら館長になっていた!というのですから驚きです。
 「人員不足だったのもありますが、私は周りの人に恵まれていたんです。今もみんなが助けてくれるからやっていけるんですよ」。そう言って優しそうに微笑む表情に、人柄の良さを感じます。
 初代館長がお兄様の元担任だったという“縁”もあり、周囲の人たちに教わりながら少しずつ勉強し知識を増やしていった川元さん。なんでも歴史全般については大河ドラマでも深めることができたらしい。歴史が苦手な人はぜひ参考に…。
 10数年前からは地域のまちあるきにも従事。子どもの頃に自転車で走り回っていた場所が実は由緒ある武家屋敷だったり…故郷の歴史や町並みに触れるたび、きっと小さな感動を覚えたに違いありません。そんなさまざまな経験を通して、今は歴史をおもしろいと感じるようになったそうです。
 大人になった今、故郷の魅力に改めて気づくことができる。それってとてもステキなこと。気づくきっかけは地域や人とのつながりにあるんだよ、と教わった気がします。
 
川元紀惠さんの記事はこちら!
第二十九回「鉄道発祥の町、多度津町の昔話~前編~」
第三十回「鉄道発祥の町、多度津町の昔話~後編~」