「あやつこ」と「犬」

前回は、初まいりで赤ちゃんの額につける印「あやつこ」の歴史について書きました。
今回は、「あやつこ」の意味について書いてみたいと思います。
まぁ、書くといっても人の文章の引用ですが (^_^;)

犬 戌

「あやつこ」という言葉は「あの奴(やつこ)」という言葉からきているようです。
「奴」とは「人や動物を蔑んでいう言葉」だそうで、「あの奴」とは「人でないもの」を意味します。
つまり「あやつこ」とは、赤ちゃんに文字を記すことで「人でないものにしてしまう」のです。
そして、この子は人ではないからと邪霊が取り憑かないようにだましたのでした。
そこで本来神聖なものを表す「×」が転じて、身近な存在であった「犬」と記すようになったみたいです。

参考「香川大学メールマガジン 第97号」
http://www.ed.kagawa-u.ac.jp/study/mailmagazine/2008-4maiimagazine.html

もともと親族を中心とした氏族社会では、先祖が氏神として祀られていました。
そんな氏族社会では、産まれた赤ちゃんを氏族の一員として迎えるための大切な儀式が「あやつこ」でした。
神聖な印を記すことで、氏神さまに守護していただくことが目的だったのでしょう。

さて、この話を聞いて、私がふと思ったのが、妊娠5ヶ月の戌の日におこなう「帯祝い」です。
現在では、「安産祈願」をおこなう日として定着していますが、安産祈願は付随的なもの。
もともとは「安産祈願をした腹帯を着け家族(集落)で祝う」のが「帯祝い」でした。
この先の話はまた次回に m(_ _)m