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岩佐佛喜堂 後編 ~思いをつなぐ仏壇屋~
「岩佐佛喜堂」後編 ~思いをつなぐ仏壇屋~
長い長い歴史を持つ仏壇業界。明治の創業と聞けばそれほど…という印象かもしれませんが、岩佐佛喜堂には歴史以上に大切にしているものがあります。
それは、流川香誕生の根底にもある「人に喜んでほしい、楽しんでほしい」という思い―。
創業当時は獅子頭を手がけていたという異色の経歴を持つ同社。獅子舞の頭の部分です。これがまた職人技の際立つ漆塗りだったそうで。漆塗りは讃岐の伝統ですから、きっと立派なものなのでしょう。
その後、需要があって同じく漆塗りの仏壇を手がけるようになり、戦後には完全に仏壇屋さんとして地域に根ざす企業になっていました。
メインの写真は、昭和50年ごろの店構えです。
初代は岩佐武平さん。代々続く家業として、その名は2代目に受け継がれました。
ところが、3代目となる岩佐一誠さんでその襲名制度は終わりを迎えます。なぜなら、名前を継ぐのがイヤだったから。
…なんてシンプルな理由(笑)
3代目の現会長は、創香師・岩佐喜雲(一史)さんのお祖父様。日本体育大学卒で家業を継ぐ前は教師。バレーボールの顧問もされていたバリバリの体育会系です。
一史さん的には非常に厳格なイメージがあるそうですが、人とのつながりを何より大切にされる方だとか。さすが学校の先生です。
実はドコモショップを運営する企業「たかせんテレコム」の役員もされていて、社内で携帯代理店事業を始めたのも他ならぬ一誠さん。厳格ながらも、きっと学校や地域で慕われる存在だったのでしょう。
その跡を継いだ4代目が、一史さんの父であり現社長の岩佐武彦さんです。
教育のために仏壇を無料で配布したり、子どもたちが安全に登下校できるようにと学校連絡網システムを立ち上げたり。ご自身の思いに沿って、地域のためにさまざまな事業を展開されました。
うん百万円もするお仏壇が飛ぶように売れたのはひと昔前のお話。今はずいぶんとコンパクト化され、お仏壇を置かない家も増えてきました。供養業界自体が衰退しているように感じます。
そんな中で変わらない、岩佐佛喜堂の真ん中にある心。
「お香を通じて人と人、人とお寺をつなぐ場所にしたい。そこには、それぞれに大切な思いがあるから」
仏壇を売ることが目的ではなく、人の思いに寄り添い、仏教という文化を伝える企業にしたいと話す一史さんには、お祖父様とお父様のステキな思いがしっかりと継がれています。
やっぱり讃岐の企業はあったかいなぁ。
高松丸亀町商店街にある岩佐佛喜堂本店では、みんなが気軽に立ち寄れるようにと、入ってすぐの場所に話題のお香を並べています。
お仏壇なんて興味ないよという人も、暮らしにモダンなお香を取り入れてみてはいかが?
岩佐佛喜堂 本店
http://www.buddha.co.jp/
OPEN 9:15~19:00(月曜は18:00まで)
CLOSE 年末年始ほか
〒760-0029 香川県高松市丸亀町10-3
Tel. 087-851-1033
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地域を支えるヒーローたち vol.24 岩佐佛喜堂5代目 岩佐一史さん(香想師 岩佐喜雲さん)