善通寺に笑いとつながりを~即興演劇シーソーズ

第四十二回「善通寺に笑いとつながりを~即興演劇シーソーズ」
「せ~のっ!」「シーソーズです!」
オープニングと共に元気な掛け合いが響いたのは、善通寺市地域支え合いセンターここ家(ここや)。食を通して社会参加や生きがい作りをめざす地域のコミュニティであり、今回の公演会場です。


ここ家外観

即興演劇とは、打合せも台本もリハもない、ギャラリーを含めてその場にいる人たちの言葉や行動をきっかけに物語が展開していく演劇。通称「インプロ」といわれるものです。
現にこの日、演者たちは舞台設営や観客にふるまうおやつの準備をした後、即興で歌ったり雑談で盛り上がったり…今日の舞台をどう進めるか?なんて話題はこれっぽっちも出ていません(笑)
でもなんだかみんな楽しそうで、開演を待つ私はワクワク♪していました。



インプロ自体、欧米ではかなり長い歴史を持っているものの日本へ入ってきたのは1990年代。今では全国的に広まっていて、学校教育や社員研修として取り入れているところも多いとか。あの吉本興業も注目しているというから興味津々です。
まさに旬のインプロ、香川における先駆けとなったのが2012年に結成された「即興劇団シーソーズ」なんです。

きっかけは、四国学院大学に新設された中四国初の演劇コース。演劇教育や理論、マネジメントの他、コンテンポラリーダンス、戯曲と学びの科目は多彩。演技はもちろん、コミュニケーション力や発想力も養われます。
実は、シーソーズの主宰は同コースを受け持つ仙石桂子助教。メンバーには一般の方だけでなく、現役の学生や卒業生も。中にはうどん屋さんの店主、現役ピアニストさんもいらっしゃってバラエティ豊か!
そして何より、仙石先生が経歴もキャラクターも含めてバラエティ豊か!その魅力はまた改めてお話するとして…
当初は演劇好きな方たちが集まる同好会風なものをイメージしていたけれど、なんとも本格的です。

さて、ステージは休憩を入れて約80分。まずはインプロ定番のゲームからスタートです。
例えば、私は木です→私は木になった実です→私は葉を揺らす風です、というように連想的に続くのですが、そう来たか!と思わず笑ってしまう発想もありました。
インプロのおもしろさは観客も参加できるところにもあり、時にはお客さんが物語の設定を決めることも。また、観客は事前に一問一答に筆記し、その言葉がここぞというシーンのセリフとしてランダムに使われます。
なにせ即興ですから、意味不明の展開になったり意外とつながったりですごくドラマティック!





「物語は平坦なシーンに何らかの“傾き”が起こるからおもしろい。それがワクワク感につながるんですよ」と、インプロのキモを教えてくれた仙石先生。
シーソーズの名前は、傾き=シーソーから生まれたもの。演者と観客の一体感&臨場感は、それこそ百聞は一見に如かずです。

ちなみにこの日は最後の最後で奇跡的なつながりを見せ、満場一致でブラヴォー!
仙石先生ご自身も大学院生時代に即興演劇と出会い、魔法みたい!と感動したそうで、ちょっとクセになっちゃう麻薬的な魅力を感じました。

メンバー同士の信頼関係はもちろん、個々の経験や感性、そして日々の訓練が生み出す予測不能の即興演劇。現在、1年間の善通寺ツアー真っ只中で、夏には金倉寺でも開催されました。
次回10月16日は園芸資材を取り扱う「たね屋」、11月は手作りランチやスイーツが人気の「エコカフェ」にて公演を予定。地域の人たちの協力で、毎回さまざまなおやつが出るのも密かなお楽しみです。



写真はシーソーズのメンバーをはじめ、今日の演劇に関わった方たち。お疲れさまでした!

即興演劇シーソーズ
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